前回の記事で「謙虚さ」の大切さをお伝えしました。しかし、ここで一つ勘違いしてはいけないことがあります。 それは、「謙虚=何でも言うことを聞く」ではないということです。
謙虚でいることは大切ですが、同時に「舐められてはいけない」。 自分の意見を、根拠を持ってはっきり伝える。これもまた、自分を死守するための重要な戦略です。
なぜ「舐められる」と危険なのか?
学校現場、特に複数の教員で動くチームにおいて、一度「この人は何を言っても大丈夫」「反論してこない」と思われてしまうと、以下のような「損」が押し寄せます。
- 1. 指導の「一貫性」が崩壊する
- TT(チームティーチング)において、同僚から舐められると、あなたが生徒に指導している横から「いや、それは違うよ」と平気で口を出されるようになります。生徒が「誰の言うことを聞けばいいの?」と混乱し、パニックや不適応が増えることになってしまいます。
- 2. 「便利屋」としての固定化
- 「あの人は断らない」「何を言っても大丈夫」というレッテルを貼られると、本来あなたがやるべきではない雑務が自然と集まってきます。重い分掌、急な代役、面倒な事務処理……。「ありがとう」の言葉すらなく、当然のように振られるようになります。
- 3. 「感情のゴミ捨て場」にされる
- 上司や先輩が、自分のストレスをぶつけるターゲット(八つ当たり先)に選ぶようになります。他の人がミスしても何も言われないのに、あなたが同じことをすると厳しく叱責されるような「理不尽な不平等」が起こります。
- 4. 正当な評価が受けられなくなる
- どれだけ現場で貢献していても、舐められていると、その功績を「あの人がやるのは当たり前」「周りのサポートがあったから」と過小評価されがちです。昇給や希望の分掌、配置換えなどの際に不利になることがあります。
舐められないための「根拠」の作り方と伝え方
「舐められない」ための最強の盾は、感情的な反論ではなく「客観的な根拠(エビデンス)」です。
特に特別支援学校という場では、感覚的な「なんとなく」が横行しやすいからこそ、数字や事実を突きつけることが絶大な威力を発揮します。
- 1. 「事実(データ)」を味方につける
- 相手が強気なベテランや上司であっても、動かしようのない「事実」には反論しにくいものです。
- 回数や時間の記録: 「最近パニックが多い」ではなく、「今週は午前中に3回、計60分の離席がありました」と伝えます。
- 前年度との比較: 「去年のこの時期の指導計画では〇〇を優先していましたが、今の実態は△△です」と比較を出します。
- 2. 「生徒の利益」を盾にする
- 自分の意見を通そうとすると「わがまま」に見えますが、「生徒のため」という形を取ると誰も否定できなくなります。
- NG: 「私はこのやり方は大変なので嫌です」
- OK: 「今のチーム体制でその指導を行うと、生徒Aさんの安全確保に〇〇というリスクが生じます。私は生徒の安全を最優先に考えたいので、B案を提案します」
- 3.言葉の「語尾」を言い切る
- 舐められやすい人は、無意識に語尾を濁しています。 「〜だと思うのですが…」「〜かもしれません」と言ってしまうと、相手に付け入る隙を与えます。
- 生存戦略: 「実態から判断して、〇〇です」「私はこう考えます」と、ドット(。)で言い切る練習をしましょう。
- 4.万が一、意見が通らなかった時の「記録」
- 根拠を持って伝えたのに、強引に押し切られた場合は、その経過をメモに残しておきましょう。「私は根拠を持ってリスクを提示した」という事実は、将来トラブルが起きた時にあなたを守る証拠になります。
周りの意見に「はい、わかりました」と微笑むだけの、いわば「都合の良い人」では、生徒も自分も守れません。
「根拠」を持って話すことは、相手を攻撃することではありません。
謙虚さは心の中に。 でも、口から出す言葉には、「根拠」を持って。
あなたがはっきり意思表示をすることで、周りの扱いは確実に変わっていきます。
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